びぃちゃんのお話
飼っているドブネズミが、死んだ。
仕事から帰ってきたらぐったりとしていて、見るからに痩せていた。水を飲ませてチュールを舐めさせた。
飲み込む気力も無く、顎下にだらっと溢れる。これは多分今日が最後だなと分かった。
それにしても急で驚いた。
昨日までは元気におやつのマシュマロ食べてたのになあ。
明らかに冷えていく身体に電気毛布とタオルを巻いた。それでどうなるとも思っていないけれど、そうしたかった。
横たわるのが一番楽そうだったので横たわらせた。たくさん匂いを嗅いで、たくさん笑わせてくれてありがとうと何回も言って、頬擦りしてみたりした。
スキニーラットの毛のないモチモチとした皮膚が大好きだ。すあまみたいな優しいピンク色で、ほかほかしていて。
でもやっぱりモチモチのすあまは、冷たくなり始めていた。悲しくなってすぐに電気毛布の中に戻した。
何回か、ピクッと痙攣をした。
たまに体勢を変えた。
死ぬ少しだけ前、3回ほど口から空気が抜けるような音がした。
鳴き声のようで明らかに鳴き声じゃないその声は、私の頭の中で都合よく解釈されて、お別れの言葉みたいだった。
体から空気が抜けた後、大きい痙攣をして、それが小さい痙攣になって、少しずつ消えていった。
何も動かなくなって少ししたら、すぐに死後硬直が始まった。
餌用に飼われていたラットが職場にたくさん引き取られてきて、そこから産まれた子だった。親はどっちとも毛ありで、びぃちゃんだけが毛無しだった。多分両親がたまたま劣勢遺伝子として持ってたんだろうな。
恐らく血も濃くなっているだろうし、スキニーだし、身体が強いとは言えない境遇の子ではあったけど、あまりに早過ぎたし、急過ぎたなあ。
一番毛がないのに一番毛繕いが好きで、他の子の分までやってあげるような心優しいネズミでした。部屋に放つと一番遠くまでお散歩しにいく冒険者でもありました。
大好きだからまた会いたい。
カルビ隊の"ビ担当"、びぃちゃんでした。
(かっちゃんとるぅちゃんは今日もプロレスに夢中です。)
哺乳類を看取ったのが初めてで、ちょっと食らってしまって次の日の脱毛をキャンセルしたのでした。
忘れたくないから文字にして残しておく。